【映画レビュー】『シライサン』名前を呼んだら、終わり。Jホラー新時代の静かな恐怖

ホラー

こんにちは!今回は、日本発の心理ホラー映画『シライサン』をご紹介します。
都市伝説系ホラーと文学的サスペンスの融合で、「ただ怖い」だけじゃない新感覚の恐怖体験が味わえる作品です。


映画『シライサン』基本情報

  • 公開日:2020年1月10日
  • 監督・脚本:乙一(「ZOO」「GOTH」などで知られる作家)
  • ジャンル:Jホラー・サスペンス・都市伝説系
  • 上映時間:104分
  • 配給:松竹
  • 主演:飯豊まりえ(瑞紀役)
  • 共演
    • 稲葉友(春男役)
    • 忍成修吾
    • 谷村美月
    • 佐藤大志
    • 江野沢愛美 など

あらすじ|目が合えば死、名前を呼べば終わり。迫る“視線の恐怖”

瑞紀の親友が、突然目を見開いたまま変死。
その直前、ある“怪談話”を耳にしていたという。
「目が合った者に忍び寄り、“名前を呼ばせたら”殺す」。
それは、“シライサン”という名の、謎の存在に関する話だった――。

事件の真相を追ううちに、瑞紀と青年・春男は次第に、見てはいけないものに近づいていく…。


【レビュー】恐怖を“静けさ”で引き出す、令和Jホラーの秀作

👁「見る」ことがトリガーになる、新しい恐怖体験

本作最大の特徴は、「目を合わせること=死のトリガー」という設定。
視線が交錯する瞬間の演出が非常に丁寧で、音や照明を極限まで絞ることで、恐怖が内側からジワジワ染み込んでくる感覚があります。

“音で驚かせる”のではなく、“気づいたときにはもうそこにいる”タイプのホラー。
『リング』や『呪怨』とは一線を画す、新感覚のゾッとする怖さです。


🧠 脚本・演出に乙一らしさが全開

原作なしのオリジナル脚本を手がけたのは、作家・乙一。
ミステリーやサスペンス要素も練り込まれており、単なる「おばけ映画」では終わらないのが本作の魅力。
シライサンとは何なのか?なぜ名前を呼ばせるのか?
ホラーの背後にある“意味”を考察したくなる深みがあります。


👩 飯豊まりえの演技が“静”の恐怖にハマる

主演・飯豊まりえは、感情を抑えた演技で不安や恐怖を内面からにじませており、「叫ばないホラー」の雰囲気に見事にマッチ。
共演の稲葉友との“抑えめな人間ドラマ”が、逆にリアリティを生み出しています。


映画としての評価・見どころ

項目スコア(5点満点)
怖さ(心理的)★★★★☆
ストーリー性★★★★☆
演出の新鮮さ★★★★★
キャラの魅力★★★☆☆
考察の深さ★★★★☆

こんな人におすすめ!

  • 都市伝説系ホラーが好きな人
  • 派手な恐怖より“静かに怖い”作品を観たい人
  • 『リング』『仄暗い水の底から』など心理ホラーが好きな人
  • 怖いだけじゃなく、設定や物語も楽しみたい人

配信情報(2025年5月時点)

『シライサン』は以下のVODサービスで視聴可能です(変更の可能性あり):

  • U-NEXT
  • Amazon Prime Video
  • dTV
  • Hulu など

まとめ|「目が合う」その瞬間に、死が始まる…“静けさ”が導く極限の恐怖

『シライサン』は、いわゆるジャンプスケア(急に驚かせる演出)に頼らず、じわじわと心の奥に染み込んでくる”静的ホラー”の代表格ともいえる作品です。
目が合った者をじわじわ追い詰め、名前を呼ばせるまで絶対に逃れられない――そんな“都市伝説的ルール”に基づく不条理な恐怖は、まるで夢の中でうまく動けないような、理屈ではなく本能を刺激する怖さがあります。

そして、ただ恐怖を並べるのではなく、人間の孤独、喪失、無力さといったテーマを含ませているのが本作の奥深さ。
乙一ならではの文学的な脚本と、視覚・聴覚の演出によって、静かな絶望と闇が日常のすぐ隣にあることを思い知らされます。

ホラー映画を観慣れている人にも新鮮に感じられる構成でありながら、ホラー初心者にも優しいテンポ感。
怖いだけで終わらず、「なぜその現象が起きるのか」「何が人を死に追いやっているのか」と、考察しながら観る楽しさもある作品です。

Jホラーの魅力を再認識させてくれる本作。
都市伝説・怪談・オカルト好きな方はもちろん、「最近のホラーは似たものばかり」と感じている方にも、ぜひ一度体験してほしい“異質な恐怖映画”です。

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