【映画レビュー】『キャッシュトラック』ジェイソン・ステイサムが沈黙の復讐者に。暴力と静寂が交差する男の怒り

アクション

こんにちは!今回は、アクションスタージェイソン・ステイサム主演のクライム・サスペンス映画『キャッシュトラック』をご紹介します。

派手なアクションだけではない、**静かで冷酷な“男の復讐劇”**を堪能できる一作です。
ガイ・リッチー監督との再タッグにも注目です!


映画『キャッシュトラック』基本情報

  • 原題:Wrath of Man
  • 日本公開日:2021年10月8日
  • 監督:ガイ・リッチー(『スナッチ』『リボルバー』『シャーロック・ホームズ』など)
  • 主演:ジェイソン・ステイサム(H〈エイチ〉役)
  • ジャンル:クライム・アクション・サスペンス
  • 上映時間:119分
  • 原作:2004年フランス映画『ブルー・レクイエム(Le Convoyeur)』

あらすじ|“運ぶだけ”の男が、地獄の火薬庫と化す

現金輸送車専門の警備会社に、ひとりの無口な新人・H(エイチ)が入社する。
冷静沈着、しかし異常なまでに正確で暴力的な対応から、同僚たちは彼の過去に疑問を抱き始める。

彼の真の目的は、ある輸送車襲撃事件で殺された息子の復讐だった――。


【レビュー】男はなぜ、こんなにも冷酷になれるのか?

🔥 ステイサムの静かな怒りが怖い

今までの「陽気でキレのいいアクション」イメージとは異なり、本作のステイサムは笑わない・喋らない・容赦しない
ほぼ全編にわたって、Hの表情は鉄のように硬く、しかしその目に込められた“怒り”がどこまでも深い。

言葉ではなく、行動で全てを語る姿がまさに“沈黙の復讐者”。
その不気味さと哀しみの両面が、観る者の心を揺さぶります。


🧠 ガイ・リッチーらしさは抑えめ、だが骨太

スタイリッシュな演出とカットバックの巧さで知られるガイ・リッチーですが、本作ではあえてそれらを封印。
代わりに、**非線形構成(時系列シャッフル)**で物語を紐解くことで、「何があったのか?」というミステリー要素を濃厚に演出しています。

その結果、ただの復讐映画ではなく、重厚なサスペンスドラマとしての深みが生まれています。


💣 暴力描写は容赦なし。でも“無駄撃ち”はしない。

本作のアクションは、爆破やカーチェイスではなく、極限までそぎ落とされた銃撃戦がメイン。
一発一発の銃声が響くたびに、観客の鼓膜にも心にもズシンと響く。

暴力がリアルで重い分、「本当に怒っている男の行動とはこういうものか」と納得させられます。


映画としての評価・見どころ

項目スコア(5点満点)
ステイサムの存在感★★★★★
緊張感ある構成★★★★☆
アクションの質★★★★★
ストーリーの深さ★★★★☆
復讐劇の余韻★★★★☆

こんな人におすすめ!

  • ステイサムの“ガチで怖い演技”が観たい人
  • 映画『ジョン・ウィック』や『ザ・タウン』が好きな人
  • 暴力に理由がある、骨太なクライムドラマを求めている人
  • スタイリッシュよりも“渋くて静かな怒り”を好む人

配信情報(2025年5月時点)

『キャッシュトラック』は以下のVODで視聴可能です(配信状況は変わる可能性があります):

  • Amazon Prime Video
  • Netflix
  • U-NEXT
  • Apple TV など

まとめ|怒りの火種は、男を怪物に変える。無言の復讐が胸に刺さる

『キャッシュトラック』は、ジェイソン・ステイサムのキャリアの中でも、特に異彩を放つ作品です。
彼はこれまで、『トランスポーター』シリーズなどでクールでキレのあるアクションスターとして知られてきましたが、本作ではまったく別の表情を見せています。
喋らず、笑わず、感情すら表に出さずに、ただ一つの目的――息子の復讐のために生きる男。
その沈黙が、時に雄弁すぎるほどに観客の心を震わせます。

本作が他のアクション映画と一線を画すのは、「なぜ彼がそんなにも冷酷になったのか」という背景を、時間軸をバラバラにしながら丁寧に描いている点にあります。
単なる復讐劇ではなく、徐々に明らかになる真実がストーリーに重みを与え、観る側も彼の怒りに共感し始める。
その構成こそが、ガイ・リッチー監督の巧みさです。

また、アクションの演出も注目です。
派手な爆発やCGを極力使わず、リアルな銃撃と沈黙の緊張感で描く戦闘シーンは、まるで戦場のような臨場感。
無駄な動きが一切ないそのスタイルは、むしろ不気味な迫力すらあります。
観る者に「怒りとは、感情ではなく行動で示すものだ」と突きつけるような、冷たくも熱い復讐の形がそこにあります。

エンタメ要素もありつつ、社会の闇や人間の業(ごう)といった重たいテーマを内包している点で、本作は“消費されるだけのアクション映画”ではありません。
むしろ、観終わった後に余韻が残る、**“考えるアクション映画”**といえるでしょう。

ガイ・リッチー作品が好きな人、ステイサムの新しい一面を見たい人、そして“静かに燃え上がる怒り”の映画を求めている人にとって、『キャッシュトラック』はきっと記憶に残る一本になります。

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